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2015-11-30

「好き嫌い」してもいい。「誰とでも仲良く」しなくていい

特に優しい子はね、「好き嫌いなく」「誰とでも仲良く」なんて、頑張らないほうがいいです。

なぜなら、いじめやモラハラを受けやすくなるから。

このところ次男が家に帰ると「いやなことする子がいる」といって、目に涙をためていることが続き、なるべく話を聴いてあげてたんだけど、それでも相手の名前を言わない。

「でも、オレが間違ってるかもしれないから・・・」と。

あのね。かあちゃん、あんたのそういう優しくてガマン強いところ、大好きだけどさ。

「自分にいやなことする子にまで、そんなに気をつかって、相手が叱られないように、守ってあげなくていいんだよ。◯次郎はまだ子どもなんだから、そんなにガマンしなくていいんだよ」

って言ったら、ぶわっと涙が溢れ出して、口元を震わせてうなずいていました。

「(自分で言えないから)先生に止めて欲しい」と言ってくれたので、先生に相談したところ、アッサリと解決。
相手の子も「おふざけ」のつもりで悪気はなくて、うちの長男もだけど、言われなければ気持ちに気づかないタイプの子もいるから、「相手によってはイヤなんだ」と気がついてくれれば、ちゃんと分かってくれます。
スッキリした」と、晴れ晴れした顔で帰って来た次男。

早めに手を打てば、いじめになる前に大人の介入で解決できます。


でもね。
ずっと、「誰とでも仲良く」できることが、すごくいいこと・大事なこと、と思い込んだままだと、誰からも嫌われないように、自分にいじわるしてくる人にまで気をつかって、好かれようとしたり、傷つけないようにしていると、そういう優しさをお裾分けして欲しい人まで寄って来ちゃうんです(経験上・・・^-^;)。

だから、「誰とでも仲良く」しなくてもいい、って優しい次男には教えていきます。
(別の意味で、長男も「誰とでも仲良く」できなくていいから、気が合わない子ともトラブルなく、ほどほどに過ごせること、が目標です^-^;)

そしてもし、いじめやモラハラに発展してしまったら・・・

そんな相手とは、関わらない、相手にしないのが一番だけど、そうもいかない時には「情報をオープンにする」ことが大事だと思います。
いじめっ子やモラハラタイプは、権威や、自分が崇拝している人や、「みんな」に弱いようです。先生や上司など、管理的立場の人に相談したり、他の人ときちんと連携している姿勢をみせる。
密室にしない。囲い込まれない。人に頼る。逃げる。離れる。休む。一人にならない。

親や先生に言えば余計にいじめられることが心配なら、守秘義務の守れる専門家(カウンセラーなど)を頼る、匿名の電話相談でもいいから誰かに話す、など、孤独にならない努力だけはして欲しいと思います。


でも、それでも自分を傷つけてくる相手を、傷つけることが気になってしまう、本当に心の優しい子・方に、私から伝えたいこと。


********************

優しいあなたへ。(そして、ほんの少し前の私へ)


イヤなヤツにはちゃんと嫌われてあげるんだよ。

自分を嫌う人がいてもいいし、誰かを嫌いになってもいい。

食べ物と同じで、人も嫌いなもの・苦手なものは避けていいんです。
残しちゃダメ、なんでも好き嫌いなく、なんて頑張らなくてもいいんです。
誰かを好きになることも、嫌いになることも、心が決めることです。
そして、心は自由です。心が決めることに、いいも悪いもありません。

私は小さい頃、忙しいお母さんに気をつかって、残さないように好き嫌いなくなんでも頑張って食べてたら、食べること自体に、あんまり興味が持てなくなったの。
それと同じでね、誰でも好きになろうと努力することは、みんな嫌いなのと同じことなんだよ。

そして、それでもしつこく近づいてきて、やめてと言ってもやめてくれないような、
あなたから離れたがらないイヤな人からは、逃げていい。避けていい。
その人に愛情をあげるのは、あなたのお仕事じゃないから。

もしかしたら、その人のお母さんが、自分のお仕事を沢山やり残したままなのかもしれないし、人生の途中でそれまでに受け取った愛情を、全部どこかに置き忘れるような衝撃的なことが、相手にはあったのかもしれません。

でも、それは、あなたのせいじゃないよね? 相手の宿題なんです。
宿題は、自分でやったほうが、相手のためにもなりますよ。


相手の人は、小さな人です。

毎日、人と自分との優劣を比べて、他人の欠点や、失敗を責めてないと安心できない、
虚勢をはったり、力を誇示して自分を大きく見せてないと、存在に自信がない人です。

自分に服従する仲間を作って、仲間はずれの対象を「みんな」と一緒に攻撃する以外に、
友だちの作り方や遊び方を知らない、寂しい人です。

あなたのような優しくてガマン強い、自分を傷つける心配のない人にしか心を開けず、
そして、相手の喜ぶこと以外の方法でしか、今まで愛情表現を学んで来れなかった、
大好きな人に大好きと言えない、臆病で、孤独で、かわいそうな人です。

そして、あなたがどんなに気をつかって、言葉や態度を選んで傷つけないようにしても、
小動物のように小心者で傷つきやすい、その小さな相手は、
何も言わなくても、ただそこに素敵なあなたが立っているだけで、
勝手に比べ、勝手に受け取り、勝手に傷ついていくんです。

もしも、ガマン強くて、思いやり深い、がんばりやの、優しい素晴らしいあなたが、
自分の人生を捧げて、その人のお母さん代わりに愛情を注いであげる程の価値が、その小さな人にあるのなら、根気よく関わって癒してあげるのもいいでしょう。


でもね。周りを良く見て下さい。


あなたから愛情を一方的に貰うばかりでなくて、あなたにも愛情をたくさんお返ししてくれる家族や友人が、すぐ目の前にいませんか?

強くても弱いあなたを、一生懸命守ろうとしてくれる、弱くても強い身近で温かな存在が、心配して小さな胸を痛めていませんか?

昔から変わらない友人や恩師が、あなたからの便りを楽しみに、遠くからずっと見守ってくれているのではないですか?

なにかあれば力になりたいと、あなたやあなたの家族を気にかけている近所の人や知り合いも、あなたから頼ってくれるきっかけを、待っているのではないですか?

優しくて素敵なあなたとお友達になりたい、お話ししたいと思っている、
同じような心の優しい友だち候補が、遠くでモジモジしているのではないですか?

優しいがんばりやのあなたを必要としている人は沢山います。
そんなあなたに力を貸してくれる人も沢山います。

小さな人から、歪んだ表現の愛情を受け取らなくても、
あなたを愛してくれる人は、沢山います。

嫌いな人の冷たくて苦い愛情は、ピーマンと同じで、避けてもいいんですよ。
大好きな人たちの、温かくて美味しい愛情だけ、しっかりいただきましょうね(^-^)


楽々かあさんより。



******

※追記:深刻な職場のモラルハラスメントでお悩みの成人の方は、私もお世話になった、こちらの先生がお力を貸してくれるかもしれません。

2015-11-16

好奇心の強い子の命運を分けるもの

Bloggerでブログ始めました! 今度は地道に更新頑張ります!(キリ!)
(HP内の旧ブログ「楽々でもないB-log」はこちらからご覧頂けます)


先日、長男が学校をお休みした日、一緒に読んだネット記事がとっても面白かったんです。

ハッカーの系譜2 ケビン・ミトニック 
「ホワイトハッカー「シモムラ・ツトム」との対決」 by牧野武文


希代の天才ハッカー同士の手に汗握る直接対決のこの記事に、最近パソコンでマインクラフトに没頭している長男はすごく惹かれたようで、難しい用語も出てくる長文でしたが、PCの音声読み上げで最後まで聴いていました。

このお話は「ザ・ハッカー」という題で映画化もされているし、以前テレビでも観たことがあったので、有名なお話のようです。
ハッカーというのは、パソコンスキルがスゴイ人という意味で、必ずしも犯罪者ではないのですが、その技術を悪用すれば、この記事のケビン・ミトニックのようなクラッカーとなり、善用すれば、シモムラツトムのようにホワイトハッカーと呼ばれます。

でも、面白いのは、この二人、やってることは殆ど同じなんです。
二人とも性格も似ていて、プログラミング技術を磨き、好奇心から同じような公にできないソフトを作っている。

私はコードを見ると体調不良になる体質なので(^-^;) これ以上の詳しいお話は、興味のある方は是非この記事や両者の著書などを参考にして頂ければと思いますが、、、

「好奇心が強い」ADHDタイプの子や、「ひとつのことを探究し続ける」ASDタイプの子は、その道のプロ・オタクとして、才能を開花できる素質が強いと思います。私も子ども達の発達の凸やこだわり、好きなことへの興味は、「いいところ」として、のびのび伸ばしてあげたいといつも願っています。

ところがです。
才能を伸ばす以上に大事なのは、「それをどう活かすか」ということなんです。

どんなに素晴らしい才能を伸ばすことができたとしても、親としては警察にお呼ばれされてはたまったものではありません。

現在、思春期の入口の長男は、凸と凹の差が激しいので、頭では分かっているのにできない、ということが多く、いつも「周りに分かってもらえない」不満を抱えがちです。体質的に怒りを感じやすいところがあります。

でも、何かを成し遂げようとする時に「怒り」の爆発的なエネルギーで、驚異的な集中力を見せて困難を乗り越えてしまう、なんてこともありえる訳で、長男が感じる「怒り」そのものは、否定しなくてもいい、よくも悪くもなく、上手につき合うものと思っています。

じゃあ、そういったタイプの子どもが、好奇心から興味のあることに邁進して、すごい技術と知識を身につけたとして、何かのきっかけで強い怒りを感じた時、、、
それを善用するか、悪用するかは、その子が


「この世界、そして自分を、好きかどうか」


にかかっていると思うんです。

前述のケビンとシモムラは、二人とも善と悪の境界線上にいました。
二人の明暗をギリギリで分けたのは、生まれ育った環境でした。
ケビンは、かなり不遇な家庭に生まれ、両親は離婚し、母親のもとで育ったものの、母の再婚相手から虐待などを受けていたようです。
一方、シモムラ・ツトムさんの父親は、2008年にノーベル化学賞を受賞した、下村修先生。両親ともに研究者で、さぞ仕事に忙しかっただろうと思いますが、受賞後に「クラゲを家族で探しに行った」と言ったエピソードが話題になったことなどから、家族の関わりやふれ合いは、それでもあったんだろうなと思います。(記事によれば、シモムラさんは両親との間に問題もあり、音信不通だった時期もあったようですが、和解したとのことです)

一度でも、親の愛情を感じられたり、周囲との信頼関係を築けた経験があるかないかでは、その子の人生に天地の開きがあるように思います。


今朝、この記事から私が感じたことを長男に分かりやすく伝えるために、好きなことを例に、こんな図を書いてみせたところ、かなり、興味を持ってくれました。







長男は「自分をキライってどういうこと?」って言っていたので、今のところ自分をキライではないようで、なんとなくほっとしましたが、、、(^-^;)

でも、子どもに「自分を好きになれ」と言っても、なりません。

やっぱり、その辺を分かってもらえるまで、あの手この手で分かりやすく毎日愛情を伝え続けるしかないかな、と思っています。


余談:シモムラによって捕まったケビンは、その後更正し、FBIに技術協力をした後、自分でセキュリティコンサルティング会社を立ち上げたそうです。