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2017-03-01

35人の教室で座ってられることと、社会への適応力は全く別!学校=社会の標準モデルではありません。

ブログをご覧下さっている皆様。
長らく更新が遅れていましたが、おかげさまで無事、新刊「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」が刊行されました!

そして今年私は、執筆&日々の発信活動に加えて、長男の進路のこと、長女の卒園・入学準備と見守り当番、町内会の役員などなど、なんだか目が回りそうですが、なんとか生き延びております…

さて。この時期、少々元気のよいお子さんや、自己主張の強いお子さんの入学を控えたお母さんは、「うちの子、教室にじっと座っていられるかしら」って、心配されている方もいるかもしれませんね。

うちも、末っ娘がいよいよ4月には新入学です。

そして、長男は一年生のとき、クラスのレクリエーションのゲームに参加できずに、泣いて教室を飛び出したこともありましたが、その彼も、もうすぐ6年生になります。

でね、最近私がしみじみ思うのは、1クラス35人の教室で、1日約5、6時間、じっと大人しく座っていられる力と、社会への適応力のある・なしは、全く別だということです。

確かに、もし、今お子さんが教室から飛び出してしまっている状況であれば、それはお子さんにとっても、追いかける先生にとっても、クラスの他のお子さん達にとっても、決して有意義な時間であるとはいえないので、なんらかの対応をとったほうがよいと、私も思います(通常学級でも、支援級でも、家庭でも、できることは、いろいろあります。参考記事:発達ナビ「支援級?それとも通常級?悩んだ時に選べる「その間」の選択肢って?」)。

でも、それは、「社会に適応できない」とか、「将来が心配だ」などとは即・イコールではないと思いますよ。ここは分けて考えたほうが良さそうです。

40年以上生きてきた私が、多少の仕事とバイトもしてきた経験上、大人になってから、30人以上の人が、一斉に正面を向いて、興味のある話も、そうでない話も、最後まで椅子に座って根気づよく聞かなくてはならない場面なんて、町内会の会合くらいです(しかも、長くても2時間くらいで終わります。それでも長いですが…)。

あとは、近いシチュエーションで想像できるのは、国会とか裁判の傍聴とか

世に数多あるお仕事をする上では、35人1クラスで一斉授業が合計5-6時間、みたいなのは、極めて特殊な状況なのではないでしょうか。

学校=社会の標準モデル、ではありません。

お子さんに、町内会や国会で活躍できる人物になって欲しいのでなければ、そんな特殊な状況でじっとしてられなくても、あんまり将来を心配することはないんじゃないかな、なんて私は思います。

だってね。

例え、めでたく大企業に就職したとしても、大抵は、それぞれの部署に分かれて仕事していますし、日本の企業の大半を占める中小企業も、少人数のチームでの仕事が多いと思います。たまに大人数の会議やミーティングなどはあるかもしれませんが、それは、全体の仕事の中で言えば、ごく一部です(まあ、エライ人になれば毎日会議ばっかり、ってこともあるかもしれません)。

接客業など、大人数を一度に相手にする仕事でも、自分が直接毎日関わる仕事仲間となれば数名〜十数名程度。個人事業主や、フリーランスなら、職種にもよるけど、ビジネスパートナーと一度に会うのは数人程度かな? 

大きな工場勤務などのお仕事だって、「おしん」の時代ならともかく(例えが古いですね^-^;)、現代は、大体は工程ごとに少人数の班に分かれているかと思います。

私は、大学生の時は苦学生でしたので、随分と沢山のバイトを経験しましたが、30人を超える人数で一斉に動く仕事など、滅多にありませんでした。イベントの設営くらい。

コンビニやCDショップのレジ係も、飲食店のウエイトレスも、農家の稲刈りも、一緒に働くのは、大抵4−5人程度まででしたっけ。

小さな出版社にいた時も、社員3名+バイト2名で一部屋。しかも、営業さんや原稿取りに出かける編集さんは出払っていて、デスクに座ってるのは常時2、3名程度。

要するに、人間が一度に協力し、効率よく一緒に働ける人数は、そんなものなのでしょうね。

それに、営業職などの人が、一日中、椅子でじっと座っていたら怒られますものね(そーいう人もいましたっけ。^-^;;)

積極的に動き回ってくれたほうが歓迎されるお仕事は、世の中には本当に多いですし、自己主張やこだわりの強さは、完成度の高い仕事が根気づよくできる、という素晴らしい長所にもなります。

そういった長所を、大人になった時に活かせるようになるには、30人の教室で、何時間もじっと座っていられる力よりも、一対一や、数人からせいぜい10人以下の小さな社会の中で、話し合いながら、ある程度自己主張したり、ほどほどに妥協したり、あんまり気の合わない人とも、大きなトラブルにならない程度にやり過ごして、なんとか最低限の協力ができる力のほうが、余程大事なんじゃないかな、なんて気がします。

私は、この、少人数で話し合いながら、何かを一緒にやり遂げる力こそが、「社会への適応力」の大事な部分だと思っています。

これだって、凸凹さんにしてみたら、結構ハードルの高いことだとは思います。

でも、そういった「小さな社会への適応力」は、毎日の家庭での兄弟同士の関わりや、クラスの班や係活動、1クラスの定員上限が8名の支援級や13名の通級、習い事や部活でのチームプレーや、趣味の集まりやサークル活動、休み時間や放課後の小さな友だちグループの中で、ゆっくりゆっくり、育まれていくものだと思います。

それを、そろそろお仕事をしようというお年頃になるまでに、ほどほどに、ある程度でも、身につけられれば、充分なのではないかな。

それに、今まで対人コミュニケーション・スキルを「自然と学ぶ」ができて来なかった私などは、子育てしながら、自宅で一人で黙々とパソコンに向かい、時々、編集者さんとメールでやりとりをし、たま〜に、打ち合わせや取材で直接お話する機会を頂く程度でできる、今の作業環境はとても自分の体質に合っています。そういう生き方だってあります(^-^)

まずは、人と関わること自体が苦痛にならないよう、子どもに無理のない範囲で、楽しみながら少人数で関われる、共通の「何か」を見つけるのがいいように思います。

まあ、とにかく、「教室から脱走  社会性のなさ」だと思いますよ。

かつては私も、教室から泣いて飛び出した長男の将来のことを、「この子は社会に適応できるのかしら」って、随分と心配しました。でも、そんな彼も、今は多少の妥協と協力が少しはできるようになって、その子なりに成長しました(現在は「気になることをスルーする」練習してます←今ココ)。

だからね、「お子さんが教室から飛び出しても、そんなに将来を憂うことはないですよ」って、今、もし、以前の私のように思い詰めていて、お悩みのお母さんがいるなら、そう伝えたいんです。

実際に将来役に立つ、「小さな社会への適応力」は、35人が一斉にじっと座って授業を受けている時「以外」の時間で、育っているのですから。

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