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2016-10-24

【ご相談1】兄弟ゲンカの「お決まりパターン」に陥った時に、無限ループから抜け出す「問題の解き方」

楽々かあさん初の試み。読者の方からの子育てのお悩みへのご回答です(^-^)

私は個別の育児・支援のご相談にはお応えできないのですが、今後は、メッセージなどで頂いたご相談の中から、「他の方にも役立つ情報になる!」と思えたものを、ピックアップして、少しずつですが、時間の許す「できる範囲で」お応えしていこうと思っています(※大変申し訳ありませんが、全てのご相談にはお返事できません。相談方法は文末にて)。


さて、私にそんなことを思わせてくれた、兄弟ゲンカでお悩みのお母さん、Nさんからのご相談。
ADHDのある8歳の兄は、5歳の弟に手を出してしまうことがあります。 
弟が大きな声でうるさく話したりすると、兄は「うるさい」と始めは注意しますが、 やめないと、叩いたりつねったりします。  「『やめて』と言ってもやめないから叩く」と、主張します。  
「うるさいけど叩いたら 駄目だよ」と、私は伝えていますが、「やめないから悪い」と、押し問答の繰り返し。 弟にもいっしょに注意しますが、何か良い対策や、 美鈴さんでしたらどのように声かけされますか。 
(Nさんのメッセージより、許可を得て掲載)



兄弟ゲンカ、見ているお母さんのほうも、大変ですよね。

凸凹あるなしに関わらず、兄弟のいるご家庭では「あるある」な状況ですよね、これ。よく分かります〜。

Nさん、毎日お疲れさまです(^-^)旦

きっと、ご兄弟のことはNさんご自身が世界一詳しいことと思いますし、今までの経過やご兄弟の関係性、それぞれの凸凹の特徴や興味関心など、私が短い文章のやり取りの中で読み取れることは限られるため、ここではこの兄弟ゲンカの「お決まりパターン」に対する、具体的な対策のアイデアではなく、Nさんご自身がこの無限ループから抜け出せる方法を見つけるには、お子さんのどこを観て、どう考えてゆけば解決への近道になるか、私なりのノウハウをお伝えしますね。

つまり、「答」よりも「問題の解き方」を直伝致します!

まずは、できていることを見てみます。

このご相談の文章から、少なくとも…

・弟さんはお兄さんと関わりたい気持ちがある
・お兄さんは最初は言葉で「やめて」と表現できている
・お母さんも「うるさいけど、叩いたらだめだよ」と、お兄さんの気持ちを理解した上で、行動だけを注意できている

という、プラスの要素があるのが分かります。Nさんも、お子さんも、よく頑張っています。この時点で100点スタートだと思って下さいね(^-^)

ここは、お子さん・お母さんのいいところ、既にできているところなので、例えば、(状況にもよるものの)弟さんがお兄さんと関わりたい気持ちがあるのに、「別々で遊ばせる」などの解決の選択肢は、私だったら勿体ないのでナシにします。そして、お兄さんの「最初は言葉で伝えている」という良い行動の部分は、その都度「言葉で言えたね」とほめて、大事にします

では、どうしたらいいのか、Nさんになったつもりで、考えていきますね。

実は、ABA療育などの基になる「応用行動分析」の考え方の中で、私が好きな「ABC分析」という、ものの見方があります。ここでは難しい理論は置いておきますが、とにかく何か問題があった時に、その行動の前後を見ながら、
A=きっかけ・原因 
B=行動 
C=結果
に、一連のものごとを分けてみて、AやCを別のことに替えることで、Bを変えていくというものです。

(参考書籍:「お父さんもがんばる!「そらまめ式」自閉症療育 自閉症の子どもと家族の幸せプロジェクト」藤居学(そらパパ)・著(ぶどう社)などの本で、ABC分析が一般向けに分かりやすくまとめられていました)

これに当てはめて、この場合の、一連の「お決まりパターン」の流れを分解すると…

A=弟さんがお兄さんにうるさくする。 お兄さんは「うるさい」「やめて」と言葉で言う(きっかけ・原因)
B=弟さんがやめないので、お兄さんが叩いたり、つねったりする(変えたい行動) 
C=兄弟で注意され、押し問答になる(結果)

…ということになります。

Bのお兄さんが叩いてしまう、という現在の気になる行動には、私はあんまり注目しないというか、そこだけにフォーカスして意識し過ぎないようにします。

ここに対しては、「叩いたらだめだよ」と、行動のみを指摘するNさんの対応で充分バッチリOKだと思います。さすがお母さん、グッジョブです(^-^)

で、もし、私がNさんだったら、AやCを別のことにする、具体的ですぐにできそうなアイデアや工夫を考えるワケです。そうすると、こんな風に考えて、こんなようなアイデアが出てきます(あくまで、私がNさんだったら、と想定し、この文章から推察できる範囲のものになりますので、ここでは私から出たアイデアそのものより、「解き方」のほうを、実際のお子さんに合わせてご参考になさって下さいね)。

1.弟が兄にうるさくしないようにするには、どうしたらいいか?考える

・弟は、兄にすごく聴いて欲しいことがあるのかもしれない。まずは、自分が弟の話を「そうかあ、お兄ちゃんに◯◯して欲しいんだね」と、共感しながら一通り聴いてみると、スッキリするかも?

・兄が「うるさい」と思うのは、聴覚が過敏だからかもしれない。イヤーマフをするとか、部屋の他のもののボリュームを全体的に下げるなど、モノの工夫や環境の調整を、もう一度見直してみようかな?

・弟が兄に「話しかけて良いタイミング」が分かってないのかも。それぞれに希望を聴いて妥協案を提示し、大きな声で話しかけてOKな時とNGな時の線引きのルールを作り、箇条書きや表にして貼り紙してみようかな?

2.兄は「うるさい」「やめて」と言えているけれど、それが弟に伝わっていないのかも?

・兄に「実際に小さな声のお手本を見せてあげて」と、弟への伝え方の助言してみるとか、「弟がちょうどいい声の大きさの時に、『それくらいならOK!』と教えてあげてくれる?」と頼んでみようかな?

…と、Aの「きっかけ・原因が起こらないようにするには…?」を、まず考えてみます。

そして、Cの「兄弟で注意され、押し問答になる」という結果も、こちらの対応を変えることで、同じことが繰り返されるのを、次第に解消できるかもしれません。例えば、

3.「兄弟が注意され、押し問答になる」結果になる時以外の場合に、うまくいっている理由は何か? をよく観察し、思い出す

・トラブルなく遊べている時には、どうしているのか、どういう場合か、をヒントにして、(特別仲睦まじくなくてもいいので)ケンカせずに平和に遊べた時に「静かに遊べているね」とか、「かあちゃん、平和で嬉しいわあ」と、声かけしてほめるとか?

・兄に「うるさくて腹が立ったけど、(たまたまでも)手を出さなかった」時に、ガマンポイントをあげたり、「手を出さなかったね。ガマンできたね。ありがとう」と声かけするとか?

…などの、アフターフォローの案が浮かんできます。

また、Nさんは「うるさいけど、叩いたらだめだよ」と、お兄さんの気持ちを理解した上で、行動だけを注意できているので、お兄さんも「叩くのは良くないこと」と理解しているのではないかと思います。押し問答になるのも、Nさんがお兄さんの不満を受け止めてくれそうだから、かもしれませんね。

丁度、お兄さんと似たタイプのうちの長男は、同じく8才くらいの頃から、周りのお子さんとの違いなどに徐々に気づきはじめたので、お兄さんも、発達上の特性もあって、頭では分かっているのについ手が出てしまう自分に、「なんでできないんだろう」と、自分自身に苛立っているかもしれません。そこで、少し遠回りの方法ではありますが、

4.もし、背景に溜まっている不満やストレス、疲れがあれば、解消する方法は何か?考える

・押し問答になるのは、兄も結構、学校など他のことでもガマンして、不満や疲れをためているのかもしれない。一通り話を否定せずに聴いたり、ストレスを発散させたり、休息を取らせたりして、気持ちと体力に余裕を作ってあげると、弟にも少し寛容になれないかな?

・「かあちゃんは、あんたが頑張ってるのを分かっているよ」というメッセージを、言葉や態度で、今週は意識して送ってみようかな?

…などを試みてみると、弟さんへの接し方も徐々に和らぐ可能性もあるかもしれません。

どうでしょうか?

こうして、「私だったらこうするかも?」という、案をいろいろと出してみましたが、ただでさえ毎日大変なNさんが、一人で全部をこの通りにがんばる必要はありません。

一連の「お決まりパターン」の、どれかひとつでも鎖を切って、この流れを変えていけば、無限ループから脱出できる、という「問題の解き方のヒント」をお伝えしました。

お子さん達の専門家であるNさんは、既にお兄さんには8年分、弟さんには5年分の、膨大なデータと経験の積み重ねがありますから、そこから得られる「母の直感」を大事にして下さいね(^-^)

そして、なるべくNさんの得意分野や負担の少ない方法をご自身で考え、選び、実践すると、気長く続けやすくなります。

また、Nさんからは、こんなメッセージも頂きました。
私もADD傾向があり、頭の中が多動な感じで、元気な子どもたちの、日々の生活上起こる事やトラブルなど同時処理出来なくて、静かにしてくれないと考えられなくなり、
子ども達に当たってしまうこともあります。美鈴さんもそういうことありますか?       

ありますよ!勿論です(^-^)

お母さんだって人間ですし、将来、職場の同僚やパートナーが、忍耐強くガマン強い方ばかりとは限りません(…と、自分に言い聞かせています)。

私もNさんと同じように、同時処理がとても苦手なので、3人の子ども達が一斉にうるさく話しかけてきてくると、すぐプチ・パニックになってしまうので、自分に余裕のない時には、正直にコンディションや気持ちを言葉で伝えて

「かあちゃんは、今疲れていて、うるさいとすぐ怒っちゃうから、静かにするか、二階で遊んでくれる?」
と、やや低めの声で追い払…いえ、ご協力をお願いしています。

もしくは、自分が別室に避難しています(大抵は下の子が追いかけてきますが、、、「静かにできる人だけ、ここにいてもいいよ」と言って、息抜き&昼寝してます)

それでも、つい怒ってしまうこともありますしね(^-^;)v 
そういう時は、「しゃあない、しゃあない、あるある〜」です。

ご自身も凸凹を抱えながら、毎日二人のお子さんを育てているだけでも、Nさんは、本当によくがんばっていらっしゃると思います。

息切れしないように、ご自身のケアもしながら、休み休み、長い子育てマラソンを、一緒に完走目指しましょうね(^-^)
Nさん、お子さん、応援しています!


※楽々かあさんへのご相談の送り方は…

・Facebook著者ページのビジター投稿、メッセージ
・Twitterのダイレクトメッセージ
・購読登録で配信されたメルマガのメールに返信

など、「相談者様にご連絡のつく形」でお寄せ下さい。
執筆作業等で多忙のため、全てのご相談にはお返事できませんが、ご相談の中から、ブログ等でご回答できるものを、可能な範囲でピックアップさせて頂きます。回答させて頂くご相談者様には、こちらよりご連絡し、ご相談内容の掲載の許可を得た上で、全体公開でご回答致します(匿名コメントなど、ご連絡がつかないご相談には、このような形ではお応えできません)。

ご相談のメッセージには、以下の内容をお願いします。
・相談者様のお名前(ご希望のニックネームなど、匿名可。記載がなければ、イニシャルで表記させて頂きます)
・お子さんの年齢・性別・凸凹の特徴など(「ADHD傾向あり」など、未診断でも大丈夫です)
・今、お子さんのことで一番お悩みのことと、簡単な今までの経過や、前後の状況などを具体的にお書き添え下さい。



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